メール配信ツール選びで一番やりがちなのは、機能表で比較して決めること。
メールは「できる/できない」より、届くか・回るか・増えても詰まないかが勝負になる。
このページは、ツール名を眺める前に「選定の順番」を固定するためのガイド。
最後にチェックリストを埋めれば、候補が自然に絞れる。
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0) まず分岐:「メール配信」には3種類ある
ここを間違えると、どれだけ比較しても失敗しやすい。
A. メール配信システム(メルマガ/ニュースレター/一斉配信)
- 目的:購読者に継続配信する、効果測定する
- 必要:配信予約、テンプレ、配信停止管理、レポート、セグメント
B. CRM/MA(メール+営業/顧客管理まで)
- 目的:問い合わせ→商談→顧客化まで一体で回す
- 必要:顧客データ、スコアリング、パイプライン、ワークフロー
C. 業務メール(メールサーバー)
- 目的:社員のメールアドレス運用、受送信の基盤
- 必要:アカウント管理、セキュリティ、監査、メール保管
「ニュースレターを送りたい」のに業務メール基盤を選ぶと、到達率・制限・運用で詰まりがち。
逆に「社員メールを整えたい」のに配信システムを選ぶと、過剰装備になりがち。
1) いちばん重要:メールの“目的”を1つに固定する
最初にこれだけ決める。目的が混ざると設計が崩れる。
- 更新通知(記事のまとめを週1で送る)
- ニュースレター(読み物+リンク。週1〜隔週)
- キャンペーン/販促(期間限定の告知、セール)
- リード育成(ステップ配信で教育→行動)
- 取引通知(登録確認、決済、パスワードリセット等)
この中で “あなたの主戦場” はどれか。
最初は1つだけにする。2つ目は後で足せる。
2) 規模の見積もり(この3つで十分)
正確な数字は不要。ざっくりでいい。
- いまの購読者:0 / 〜100 / 〜1,000 / 〜10,000 / それ以上
- 配信頻度:週1 / 隔週 / 月1 / 不定期
- 1回の配信通数:購読者数 × 1(基本)
目的:「伸びたときに料金や運用が破綻しない」ラインを先に見抜くこと。
3) 到達率は“ツールの差”より“土台の差”
ツールを変えれば届く、は幻想になりがち。
土台が整ってる方が強い。
最低限やること:
- From(送信元)を独自ドメインで固定する
- SPF/DKIM/DMARCを整える(まず観測→後で強化)
- 解除導線を分かりやすくする(苦情率が下がる=勝ち)
詳しくは:
4) 運用は「機能」より先に決める(ここで勝敗が決まる)
運用設計がないと、どんなツールでも止まる。
最低限決めるべき4つ:
- 誰が書く?(1人/複数)
- 誰がチェックする?(ミス防止)
- いつ送る?(固定曜日が強い)
- 何を送る?(テンプレで回す)
テンプレはこれで十分:
5) “必須機能”のチェックリスト(ここから比較する)
ここから先が「ツール比較」。
ただし全部は要らない。必須だけ選ぶ。
必須(ほぼ全員)
- [ ] 配信停止(unsubscribe)管理ができる
- [ ] リスト/タグの整理ができる
- [ ] テンプレ(再利用)ができる
- [ ] 効果測定(最低:クリック)が見える
- [ ] 予約配信ができる
- [ ] データのエクスポートができる
あると強い(伸びたときに効く)
- [ ] ステップ配信(簡単な自動化)
- [ ] セグメント配信(条件で送り分け)
- [ ] 承認フロー(複数担当のとき)
- [ ] API / Webhook(外部連携が必要なとき)
- [ ] A/Bテスト(件名や導線を詰めたいとき)
最初は要らないことが多い(後でいい)
- [ ] 複雑な条件分岐のMA
- [ ] “全部入り”のCRM統合
- [ ] 高度なスコアリング
最初から盛るほど止まる。まず回す。
6) 料金で見るべきは「金額」より「伸び方」
比較のコツは、料金表の“どこを見るか”を固定すること。
見るポイント:
- 何に比例して増える?(購読者数 / 配信通数 / 機能 / 送信量)
- 上限はある?(月間通数制限など)
- 成長したときの「詰みポイント」はどこ?
いま最安でも、伸び方が厳しいと後で移行コストが出る。
逆に、少し高くても伸び方が緩いと総コストは安くなることがある。
7) 乗り換え(移行)前提で“最初から”やっておくとラクなこと
移行で詰まる原因は、だいたいこれ。
- タグ/セグメントが増えすぎて意味不明
- フォーム導線が散らかっている
- 同意(オプトイン)の扱いが曖昧
- 送信元ドメイン/表示名がブレている
最初からこれだけやると強い:
- タグは「流入元」だけ(例:
src:post/src:footer) - リストは1つから(増やさない)
- From名とFromアドレスを固定(変えない)
8) 最短で候補を絞る「5つの質問」
この5つに答えると、候補は自然に減る。
- 目的は「更新通知」?「ニュースレター」?「販促」?
- WordPress内で完結したい?外部サービスで切り離したい?
- 週1で回す?不定期?(固定できるほど楽)
- チーム運用?担当者1人?
- 1年後、CRMや営業まで統合したい?
答えが固まったら、比較記事(国産/海外)に戻ると速い:
9) 選定スコアシート(テンプレ+記入例)
スコアは 1〜5点でつける(目安:1=弱い / 3=普通 / 5=強い)。
最後に 「重み×点数」を合計して比較する。
記入用テンプレ
候補名は、いま検討中のサービス名に置き換えてOK。
| 観点 | 重み | 候補A | 候補B | 候補C |
|---|---|---|---|---|
| 到達率の土台を作りやすい | 5 | |||
| 運用が止まりにくい(テンプレ/チェック体制) | 5 | |||
| リスト/タグ管理がシンプル | 4 | |||
| 解除・苦情対策がやりやすい | 4 | |||
| 連携(API/CSV) | 3 | |||
| 料金の伸び方が穏やか | 4 | |||
| 移行しやすい(持ち出し) | 3 | |||
| 管理画面の分かりやすさ | 3 | |||
| 合計(Σ 重み×点) |
計算のしかた:
例)重み5の項目で4点なら「5×4=20点」。これを全部足す。
記入例(※架空。書き方の見本)
前提:小〜中規模、週1ニュースレター、担当1人、将来は外部連携も少し欲しい…みたいなケース。
| 観点 | 重み | 候補A(例:WiLL Mail) | 候補B(例:ブラストメール) | 候補C(例:配配メール) |
|---|---|---|---|---|
| 到達率の土台を作りやすい | 5 | 4 | 3 | 4 |
| 運用が止まりにくい | 5 | 4 | 3 | 4 |
| リスト/タグ管理がシンプル | 4 | 4 | 4 | 3 |
| 解除・苦情対策がやりやすい | 4 | 4 | 3 | 4 |
| 連携(API/CSV) | 3 | 4 | 2 | 3 |
| 料金の伸び方が穏やか | 4 | 3 | 4 | 3 |
| 移行しやすい(持ち出し) | 3 | 4 | 3 | 3 |
| 管理画面の分かりやすさ | 3 | 3 | 4 | 3 |
| 合計(Σ 重み×点) | (例)126 | 105 | 117 |
この見本みたいに「重み×点」を積み上げると、感情じゃなく設計で決められる。
まとめ:メール配信ツールは“設計”で勝つ
- まず「目的」を1つに固定する
- 到達率の土台(SPF/DKIM/DMARC)を整える
- 週次で回る運用テンプレを作る
- その上で、必須機能と料金の伸び方で選ぶ
ツール選びはゴールじゃなく、止まらない運用を作るための入口。
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